毎日が減圧潜水
今回はたいへんマニアックな記事です。
9月17日からリブリーザーでのダイビングが久しぶりに始まりました。
9月21日までの4日間(そのうち1日は体験ダイビング担当で外れたが)は、毎日、毎回、ダイブタイムの1/4は減圧に充てているという楽しい時間が続きました。
ノントラブル
ダイビングでトラブルがないのは当たり前のことなのだが、アップデートの頻度が多いリブリーザーはちょっと事情が違う。講習内容の大半が「リブリーザーが壊れた時の対応」だといっても過言ではない。
それでも今回の二人はノントラブルだった。標準的なメンテナンスをサボらずに行い、年間20回以上のリブリーザーダイビングをするこの人たちがベイルアウトしたことは一度もない。酸素センサーは最新のSSO2(デジタルセンサー)で交換の必要なしだし、バックアップのセンサーまでSSO2仕様にするという念の入れようなのだ。
この完璧な装備にベイルアウトシステムまで持ち込んでダイビングするわけだから、オープンサーキットより安全なダイビングだと僕は思っている。無理をしなければ。
用語解説
SSO2・・・ソリッド・ステート・酸素センサー。特殊な塗料に光を当てて反射光の色を計測する。この塗料は塗料の周りにある酸素の濃度によって反射光の色が変わるという摩訶不思議な物質なので、反射光の色を計測することで酸素濃度がわかってしまう。というものらしい。
ベイルアウト・・・リブリーザーはダイビング中に絶えず呼吸用ガスを作ってくれる小型ガス製造機のようなものなので、ダイビング中に壊れると有毒なガスを作ってしまうかもしれない。そんな時にはリブリーザーでの呼吸をやめて、緊急用のシリンダからオープンサーキットで呼吸する。このようにリブリーザーからオープンサーキットに逃げることをベイルアウトするといいう。
写真の説明
手前のダイバーはカウンターラングをバックマウントで構成したPoseidon SE7EN+を背負っている。左脇の細長いアルミシリンダーは5.7L。ベイルアウト用である。奥のダイバーも5.7L、僕が11Lのシリンダーを準備しているから、チームでひとりのベイルアウトダイバーを支えることは可能だ。実際には今まで一度もベイルアウトの必要はなかったから、このシリンダーはお守りとして持って歩いてきたことになる。
手前のダイバーはその他に小型の水中スクーターとごっついカメラを持っている。それに対して奥のダイバーはシンプルだ。40m耐圧のコンパクトなカメラを運に任せて持ち歩いている。
予定水深は50mだから大丈夫なのだろう。壊れれても惜しくはないのかも。
50mは深いのか?
50mは十分深いと僕は思う。そこまで行ってちょっと景色を見て帰ってくるだけなら、オープンサーキットダイバーでも慣れた者なら可能だが、そこでマクロ生物を探すとなると話は変わってくる。
これは今回のダイビングのひとつ。50m前後の深さまでの移動に7分ぐらいかかり、そこからハゼの巣穴をいくつか観察しているうちに時計は20分あたりを指していた。総潜水時間を60分程度に設定していたので、必要な減圧時間とさらに浅場でマクロを探す時間をちょっと加味すると、そろそろ浅場に移動するのが好ましい。30mにあるちょっとした穴で道草を食ったが、減圧を兼ねた浅場でのマクロ撮影に30分ほど費やした。
これは具体的な数値。減圧モデルがDCAPというのがスエーデン製らしくて面白い。ハミルトン研究所がスエーデン海軍のために作成した減圧モデル。このデータはダイブコンピューターM28とスマホアプリReefを WiFi 接続することでダウンロードできる。
11月から本気モードでいこう
オンシーズンだと一般のファンダイバーや体験ダイバーと同船することがほとんど。いくらリブリーザーだからといっても、船の上で長時間待ってもらうわけにもいかないから、総潜水時間は60分程度と決めている。でも11月ならノーゲストの日もあるだろうから、総潜水時間は倍にしても良さそうです。
今年の11月は楽しむぞ。